当店はご存知の通りワイン専門店でございます。
特別すぎない、日常すぎないクラスの知られざる名品をグラスにてご提供させていただく所です。
が、その限りでない商品もあります。
例えばワイン醸造の際の滓で造る蒸留酒「マール」や「グラッパ」。あるいはワインやシェリーカスクで熟成したモルト。などなどワインに関連のある品々です。
先日ご紹介しましたイルーレギーのフランボワーズ・ブランデーなどもそう。
と、勿論ここまでは普通でしょうけど…
忘れてはならないのが、わが郷土が誇る「焼酎」
たまに焼酎が商品としてあると伝えると
「ワインバーでもやっぱ、宮崎やったら焼酎置かんと商売にならんちゃろ?」というお声があります。
その答えには「NO」とお答えします(心のなかで…)
そんな次元で焼酎を置かせていただいておりません。
正直、商売のみだったら無理して置きません。
私にとっての焼酎は、自分=焼酎、つまりアイデンティテーなのです。
異文化を理解しなければならない者にとって、その物指しとなりうるのは焼酎なのです。
モノ作りのこだわり所のツボは世界共通なら、身近なものを物指しにするでしょう。
宮崎焼酎がイコール自分からスタートし、異文化の良さに触れ、またそこからあらためて地元の良さに気付く…
とすると焼酎=ワインとなるはずです。
だから私の中では両者同じ感覚でお店に並んでいるという訳です。
そして宮崎の皆様におかれましても、偉大な異国の産物に触れつつも、地元の良さに気付いていただければなぁ~と思うのです。
幸い、今宮崎の各地の焼酎蔵では意欲溢れる次世代の生産者がいらっしゃいます。
田野の「万年」渡邉氏、日南の「杜氏潤平」金丸氏、国富の「川越」川越氏、東郷の「日向あくがれ」高妻氏、都城の「赤鹿毛」柳田氏。みな同世代ですが、彼らを想うと欧州の今をときめくスター生産者が頭の中でダブります。
~青鹿毛 柳田酒造合名会社~
これは同蔵の杜氏、柳田正氏の娘さんがお生まれになった際のボトルで、青鹿毛自体はスタンダードなのですが、このボトルは出生記念なんです。この写真では見えにくいですが娘さんの名前が「桜子」さんなのでボトルカラーが綺麗なピンク色。
しかもそのエピソードが裏ラベルにこう記してあります。
見えにくいでしょうから以下に…
「結婚して7年目、ようやく授かったのこの子は平成21年4月6日、長野県松本市で誕生しました。
その日は蒸留日。遠く宮崎から出産の無事を祈り、雫の垂れるのをじっと見守りました。
この焼酎はその原酒を少し詰めております。
新米オヤジの不安と期待と愛情がいっぱい詰まった、親馬鹿焼酎をどうぞご堪能ください。」
とあります。ホント親馬鹿です(笑)
タイトルにある「ドメーヌ」とはフランスで葡萄栽培から醸造まで一貫して行う生産者のことを指します。
各地で数々の小さな蔵が、その地域の風土だけでなく、個人的な思いも酒にのせているのです。
そんな見方で両方グラスを傾けてみてくださいね。